Assisted reproductive technology
生殖補助医療(ART)
生殖補助医療(ART)とは、卵子を採取する「採卵」、体外で卵子と精子を受精させる「体外受精」や「顕微授精」、受精卵を子宮内に移植する胚移植などを含む医療技術の総称です。ARTの妊娠率は不妊治療の中で最も高く、日本産婦人科学会の統計によると20~30%とされています。当院では、さまざまな最新技術や手法を取り入れることで、20歳代で約60%、以降年齢により徐々に妊娠率は低くなりますが、40歳代でも20%以上の妊娠率を誇っています。
当院の治療は、原則として薬剤によりネガティブフィードバックという脳下垂体の抑制を行いません。このため、体への負担が少ないことはいうまでもありませんが、連続した生理周期での採卵・移植も可能です。その一方で、患者様のご希望、年齢、AMHその他のホルモン値、身長・体重・BMI・副傷病等を考慮し、各種刺激方法を選択していきます。
・完全自然周期法:AMHが低め、薬は使いたくない、少数精鋭で質の良い卵を育てたい方
・自然周期低刺激法:AMHにはこだわらない、薬はあまり使いたくない、数は少なめでも質の良い卵を育てたい方
・r-FSH低〜中(高)刺激法:AMHがやや低め〜標準、卵巣の反応にもよるが卵巣にあまり負担をかけない範囲で一定の卵を育てたい方
・PPOS中刺激・高刺激法:AMHが高め、1回の採卵で一定の数の卵を採卵したい方
・レトロゾール法:AMHが高く、LH高値のPCOの方。または、AMHが低めで、別の方法を試したい方
・エストロゲン併用法:AMHがかなり低くFSHが高値、早発閉経の方
・アンタゴニスト法:AMHが高い、30歳代前半以下、採卵をあまり行いたくない、下垂体機能の抑制も含めて薬の使用に全く抵抗がない方に適しています
周期ごとに患者様の状況とご希望に応じた体外受精法をご提供しています。
当院では、患者さまの治療歴や年齢を問わず、治療をご希望されるすべての患者さまのお手伝いをします。
40歳代後半の方、他院で反復不成功、持病や肥満、他院で治療を諦めるよう言われた方も、まずはご相談ください。
令和4年4月よりARTは保険診療になりました。 治療開始時の女性の年齢が40歳未満では子ども1人につき6回まで、40歳以上43歳未満では3回まで保険適用での治療が受けられます。43歳以上の方は全額自己負担となります。尚、当院では治療を継続されている方に対して減免制度を設けています。
ART
※患者様一人ひとりの状態に応じて排卵の計画をたてます。
すべてがこのスケジュールで進むわけではありません。
生理1~3日目
ホルモンの状態や子宮、卵巣の状態をチェックし、採卵に適した周期であるか確認します。
卵胞の発育を助けるお薬をお渡しし、採卵が決定する日まで内服をしていただきます。
生理6~10日目
ホルモン採血の結果と内診の結果から次回の予約日を決定します。必要に応じ、注射を行います。
卵胞の育ち具合によっては、来院していただく回数が多くなる場合があります。
生理12~14日目
ホルモン採血と超音波検査の結果から、採卵日が決定します。
指定された時刻に点鼻薬を使用し、卵胞の最終成熟を促します。
採卵

膣から超音波ガイド下に細い針を刺入し、排卵直前の卵子を卵巣から採取します。
当院で使用している採卵針は、通常の採卵針(16~18ゲージ:外径1.6~1.2㎜:献血等で使用されている針)に比べて細い採卵針(21ゲージ:外径0.81㎜:細い注射針)を用いています。また、針の先端部分の刃は特殊な加工をしており、組織へのダメージを最小限に抑えるように工夫されています。この採卵針は特注で、永遠幸グループでも使用されており、痛みが少なく出血も軽度なため、全身麻酔をせずに採卵をすることが可能です。採卵終了後は15分ほど安静にしていただくのみで、診察後はお仕事も可能です。麻酔の静脈注射を打つ針と同等の太さのため、麻酔・採卵で2回針を刺すよりも採卵1回を無麻酔で行った方がかえって負担が軽く採卵ができる場合がほとんどです。ただし、痛みに弱い方のために、鎮痛・鎮痛鎮静剤の内服、座薬、注射など痛み止めの薬や麻酔も取り揃えておりますので、痛みに不安な方はご相談ください。
採卵は手術室で行います。卵子に影響がないよう照明を消した状態で行いますが、リラックスして採卵ができるよう、採卵中はスタッフが付き添わせていただきます。
受精

受精方法はconventional-IVF(体外受精)ICSI(顕微授精)があります。
体外受精は、採卵された卵子と調整された精子を一緒に培養(媒精)するもので、自然に近い受精方法です。
顕微授精は、顕微鏡下で良好な精子を選択し、極めて細い針を使って卵子の中に精子を注入する方法です。確実に精子を卵子内へ注入することができます。
また、顕微授精においては、カルシウムイオノファを使用した卵子活性化処理も行っております。
培養

受精した卵子は温度、湿度、ガスの濃度などを厳密に管理したインキュベーター(孵卵器)という装置で培養します。
初期胚は受精後2日目に、胚盤胞は5~6日目に凍結します。
胚移植

体外で受精させ、発育させた胚を子宮腔内に戻すことを胚移植といいます。
採卵した周期に戻す新鮮胚移植と、採卵周期には移植せずに一旦胚を凍結して、ホルモンや子宮の状態を整え翌周期以降に戻す凍結融解胚移植のいずれかの方法があります。
凍結融解胚移植には、薬を使用することなく自然のホルモン状態で戻す自然周期移植と、ホルモン剤にてホルモンの状態をコントロールして戻すホルモン補充周期移植の2つの方法があります。
当院の胚移植では、妊娠率を4~10%程度向上させることを目的として、原則全ての胚移植において着床を促進する胚接着因子を含む培養液での移植を行っています。また、胚の周りにある透明帯という卵の殻にあたるものを、一部切開、もしくは薄くし、成長した胚が透明帯から脱出しやすくするために、レーザーによるAssisted Hatching(孵化補助法)も行っております。
採卵モデルケース 生理周期28日
低刺激法 標準来院回数4回

高刺激法(黄体ホルモン併用法)標準来院回数4回

エストロゲン併用法 標準来院回数4回

移植モデルケース 生理周期28日
自然周期 分割胚移植 標準来院回数3回

自然周期 胚盤胞移植 標準来院回数3回

ホルモン補充周期 分割胚移植 標準来院回数4回

ホルモン補充周期 胚盤胞移植 標準来院回数5回





